問題意識はあるということですが、今、総理の口からは処方箋の話はなかったですね。どうしたらいいのかということが問われていると思うんですね。反省、分析、これを行った上で、何をするかということが私は大事だというふうに思います。
企業に、無理やり賃金を上げろ、あるいは設備投資をしろ、内部留保に課税するぞみたいなことも言う方もおられますけれども、なかなかそれは難しい。
であれば、政府の役割として何ができるのかということをしっかり考えることが大事だと思うんですね。一つは税制面での優遇措置、これをもう一遍見直すということ。それから二つ目は規制改革ですよね。徹底して規制改革をやるということ、これも大事なことだというふうに思います。あと、私は、大事なことは、予算、税金の使い道、これをやはり、それこそ反省を踏まえて大きく変えることが大事だというふうに思います。
ちょっと三枚目のスライドを御覧いただきたいと思いますけれども、一九九〇年が上、今年度が下であります。六十六兆から百十二兆ということで、四十六兆、一般会計歳入歳出は増えている。防衛費は、直近、若干増えましたけれども、防衛費は少し前は五・二兆円ぐらいでしたから、大きく増えたのは社会保障と国債費だけなんですよ。
財務省はずっとシーリングと言っていましたよね、天井をかける。つまりは、高齢化の中で社会保障費は増える、しかし、それに対しての安定財源というものをしっかり持っていなかったために、借金に借金を加えて、今、一千百兆円を超えたんですよね。異次元の金融緩和で金利を低く抑えても、これだけの利払い費がかかるということですよ。
増えているのは社会保障、そして国債費。この予算の中を見ていただくと、日本を会社と例えると、まあ会社と全て同じでということではありませんが、どの部分がいわゆる将来の成長に資する支出なのかということを言うと、私は、この「文教・科技」、つまりは教育とか科学技術というところが本来ならばもっと大きくウェートを増やしていって、そして、先ほど申し上げたように、それが技術革新を生む、そして企業の投資も生む、そして日本全体としての活力を生む、そういう呼び水になるようなものにしなければいけないのではないかというふうに私は思っているんですね。
総理、聞いていますか。
四枚目を御覧いただきたいと思います。
では、その教育予算と科学技術費でありますけれども、OECDで経済規模を物差しとしたらどのぐらいだと思われますか、何位ぐらいだと思われますか。御存じなければ答えますけれども。下から数えて二番目なんですよ、下から数えて二番目。それの裏返しで、教育支出の公私負担割合というものは、つまりは、政府支出が少ないということは教育においていかに自己負担が高いのかということがこの四番目なんですね。三十八か国の中での平均が二八・六ですよ。つまりは、自己負担は三割以下。しかし、日本は六三・四ですよ。これだけの負担をしなきゃいけない。
賃金も上がらないし、そして教育費は上がる。この自己負担は親の負担だけじゃないですよ。子供の奨学金という負担もある。二・七人に一人が貸与型の奨学金を借りて、返さなきゃいけない金額は平均して卒業時に三百十万円。これが晩婚化、そして非婚化、少子化、様々な日本の課題にもつながっているということなんですね。
つまりは、この予算そのものが、社会保障の増加とそれに見合った財源を持ってこなかったために、シーリングをかけて、本来であれば日本を成長に導かなきゃいけない教育、人づくりや研究開発にお金をかけてこなかったことが一つの大きな失われた三十年の私は課題だと思うんですけれども、総理の御認識をいただきたいと思います。