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2024-10-07
第214回国会(臨時会) 衆議院 本会議 第3号 発言No.28全文を見る吉田はるみ議員の御質問にお答えをいたします。
最低賃金の引上げに伴う中小企業支援についてお尋ねを頂戴いたしました。
最低賃金につきましては、二〇二〇年代に全国平均千五百円という高い目標に向かって、たゆまぬ努力を続けてまいります。
これまで、価格転嫁の状況の公表、下請Gメンの体制充実などの価格転嫁対策に取り組んできたところでありますが、引き続き、適切な価格転嫁と生産性向上を支援してまいります。また、事業者のデジタル環境整備や省力化投資を促進し、中小企業が賃上げができる環境を整備いたしてまいります。
いわゆる年収の壁についてのお尋ねがございました。
年収によって社会保険の適用が変更され、社会保険料の発生により手取り収入が減少する、いわゆる年収の壁に対しましては、当面の対応策として取りまとめました年収の壁・支援強化パッケージの活用の拡大にまずは取り組んでまいります。
その上で、就業調整を行っている労働者が希望に応じて働くことができるよう、制度的な対応として、被用者保険の更なる適用拡大などに取り組むことといたしております。
現在、次期年金制度改正に向けて議論を行っておるところでございますが、働き方に中立的な制度の構築に向け、今後とも関係者の御意見を伺いながら、引き続き丁寧に議論をいたしてまいります。
インボイス制度についてでありますが、インボイス制度は複数税率の下で課税の適正性を確保するために必要な制度であり、これを廃止することは考えておりません。
インボイス制度に対する御不安、御懸念、これを抱かれておられる方はおられます。そのような不安等に対しましては、税負担や事務負担を軽減する二割特例等を周知するとともに、事業者の方からの御相談には引き続き丁寧に対応いたしてまいります。
介護職員等の処遇改善についてであります。
介護、障害、保育等の現場におきましては、人材の確保が極めて重要であり、そのため、処遇改善を図ることは重要な課題であると認識をいたしております。
介護及び障害福祉につきましては、令和六年度の報酬改定において、また、保育等については、こども未来戦略に基づき、処遇改善を進めております。
ベースアップを含め、施策の効果について確認、点検を行いながら、福祉等の現場で働く方々の処遇改善に誠実かつ着実に取り組み、国民の皆様方に安心していただける社会保障制度を整備してまいります。
エネルギー負担軽減策についてのお尋ねをいただきました。
電気・ガス料金支援につきましては、物価高に直撃され苦しい状況にある国民を守り、酷暑の夏を乗り切るため、即効性が高い対策として、酷暑乗り切り緊急支援として、八月から十月の使用分について支援を実施いたしてまいりました。
エネルギーコストを含めた物価高対策につきましては、状況を丁寧に見極めながら、物価高の影響を特に受ける低所得者世帯向けの給付金や、地域の実情に応じたきめ細かい対応のための重点支援地方交付金を含め、今後、経済対策について議論していく中で、総合的に検討いたします。
金融所得課税と法人税についてのお尋ねをいただきました。
金融所得課税につきましては、貯蓄から投資への流れを引き続き推進していくことが重要であり、現時点でその強化について具体的に検討することは考えておりません。
法人税の在り方につきましては、与党税制調査会でかねてから議論されており、賃上げと投資が牽引する成長型経済を実現していくために何が効果的なのかという観点を踏まえて議論されるものと考えております。
防衛力に係る財源確保のための税制措置についてのお尋ねを頂戴いたしました。
激変する安全保障環境において日本を守り抜くために、国家安全保障戦略等に基づき、我が国自身の防衛力を抜本的に強化すべきことは論をまちません。
そのための財源確保に当たりましては、行財政改革の努力を最大限に行った上で、それでもなお足りない四分の一について、今を生きる我々の将来世代への責任として、税制措置での御協力をお願いすることといたしております。
今後、与党の税制調査会等の場で議論が行われていくものと承知をいたしておりますが、政府・与党で緊密に連携し、対応いたしてまいりたいと存じます。
子育て支援金制度についてのお尋ねであります。
少子化とその結果生ずる人口減少は、国の根幹に関わる課題、いわば静かな有事であります。このため、こども未来戦略を着実に実施し、子育て支援に全力を挙げます。
支援金制度は、子育て世代を全世代、全経済主体が支える仕組みであり、子育て支援のための加速化プランの実施に必要なものです。これを導入しても、歳出改革等により社会保険料の上昇を確実に抑制します。今月から拡充されている児童手当などは、物価上昇を上回る賃金上昇の定着に向けた取組と相まって、若い世代の所得を増やしていくこととなります。
政府といたしましては、支援金制度の令和八年度の施行に向け、こうした制度の趣旨について国民の皆様方に説明を尽くしてまいります。
学校給食費の無償化についてもお尋ねを頂戴いたしました。
学校給食費の無償化につきましては、学校給食の実態を踏まえつつ、関係省庁が連携をし、児童生徒間の公平性や国と地方との役割分担、政策効果、法制面等の課題を整理した上で検討いたしてまいります。
国公立大学の授業料についてのお尋ねであります。
国立大学の授業料につきましては、国が標準額を示しつつ、その一・二倍を上限として各法人が個別に設定する仕組みとなっております。
経済的な理由により進学を諦めることがないよう、給付型奨学金や授業料等減免制度を拡充してきております。引き続き、高等教育費の負担軽減に取り組んでまいります。
学校の仕事量軽減と指導、運営体制、いじめ、不登校等の対策についてのお尋ねがございました。
学校の仕事量削減につきましては、働き方改革やデジタル技術の活用により、学校、教師が担う業務を適正化し、教師の時間外在校等時間を削減します。
指導、運営体制につきましては、様々な教育課題に対応するための、各自治体の権限と責任の下で任用される支援スタッフと教職員との連携、協働を進めます。
いじめ、不登校等につきましては、教師のみに負担させるのではなく、専門スタッフによる教育相談や、学校内における多様な学びの場の活用等による対策を進めてまいります。
女性閣僚の数についてであります。
大臣、副大臣、大臣政務官の人事につきましては、所管分野の状況や本人の手腕、経験などを踏まえて行ったところであります。
女性活躍と女性参画は重要な課題であり、社会のあらゆる組織の意思決定に女性が参画することを官民の目標とし、達成への指針を定め、計画的に取り組んでまいります。
選択的夫婦別氏制度についてのお尋ねがございました。
選択的夫婦別氏制度の導入を求める声があることは承知をいたしております。夫婦の氏に関する具体的な制度の在り方につきましては、国民の間に様々な意見があり、政府としては、国民各層の意見や国会における議論の動向等を踏まえ、更なる検討をする必要があると考えているところです。
そのため、当該制度の導入の是非や導入時の家族への影響等について、私の立場から個人的な見解を申し上げることは差し控えます。
マイナ保険証についてのお尋ねをいただきました。
マイナ保険証は、本人の健康医療情報を活用した適切な医療の提供に大きく寄与するものです。一方で、マイナ保険証が使えないといった様々な不安の声に丁寧に対応する必要がございます。
現行の健康保険証の新規発行終了につきましては、法に定められたスケジュールにより進めていきますが、マイナ保険証が利用できない方も確実に保険診療が受けられますように、資格確認書の活用も図ってまいります。さらに、資格確認書でも保険診療が受けられることなど、高齢者の方にも伝わるよう周知を徹底し、不安の払拭に向け、丁寧に進めてまいります。
食料供給困難事態対策法についてお尋ねをいただきました。
この法律が事業者に生産等の計画の届出を求めておりますのは、食料供給が大幅に不足し、買占めや価格の高騰など国民生活等に支障が生ずるような場合に、政府として、確保可能な食料供給量を把握し、必要な対策を講ずるためであります。
計画の届出をしない事業者に対する罰金は、その実効性を担保するためのものであり、引き続き、丁寧な説明に努めてまいります。
就農者の確保についてのお尋ねを頂戴いたしました。
我が国の農業が持続的に発展していくためには、御指摘のように、就農者を確保することが極めて重要であります。
このため、就農に向けた研修資金、経営を開始するための資金及び就農者の雇用を促進するための資金の交付、経営発展のための機械、施設の導入支援、就農後の技術面のサポートなど、総合的な支援を進めてまいります。
エネルギー基本計画における原発の位置づけについてであります。
AI時代の電力需要の激増が見込まれる中、脱炭素化を進めながらエネルギー自給率を抜本的に高めることが重要であります。
そのため、省エネルギーを徹底し、再生可能エネルギーを拡大するとともに、安全性の確保を大前提とした原子力発電を利活用することも必要です。
再生可能エネルギーか原子力かという議論ではなく、利用可能な脱炭素電源は適切に活用していくという考え方であります。
こうした足下の情勢も踏まえ、次期エネルギー基本計画について国の審議会で検討いたしてまいります。
憲法改正についてであります。
内閣総理大臣の立場からは、憲法改正についての具体的な内容等について直接申し上げることは差し控えますが、自由民主党総裁としてあえて申し上げれば、我が党では、緊急事態条項の在り方、憲法における自衛隊の明記等について活発な議論が行われ、論点整理等が進められてきたところであります。私も、自民党総裁として、これらの議論の積み重ねを引き継ぎ、後戻りさせることなく前に進めてまいります。
調査研究広報滞在費についてお尋ねを頂戴いたしました。
調査研究広報滞在費、いわゆる旧文通費につきましては、我が党の岸田前総裁と維新の会馬場代表との間において、衆参議長の下に置かれる協議の場において前向きに議論を行い、使途公開と残金返還を義務づける立法措置を講ずることについて文書で合意が交わされたものと認識をいたしております。私も、自民党総裁として、その合意を引き継いでまいります。
現在、衆参両院の議院運営委員会による有識者へのヒアリングが進められているところと承知をいたしておりますが、今後、制度の詳細等について各党各会派間での合意を早期に得て、必要な立法措置が講じられるよう、自民党としても誠心誠意対応いたしてまいります。
自民党と旧統一教会との関係等についてお尋ねをいただきました。
御指摘の写真に係る報道については承知をいたしておりますが、当該報道のみでは、自民党と旧統一教会との間に組織的関係はなかったというこれまでの党の説明を覆さなければならないような事情があるとは考えておりません。
また、私と旧統一教会及びその関連団体との関係について、御指摘の講演や献金の受取は事実でありますが、それ以外の事実は把握をいたしておらず、既に旧統一教会とは一切関係を持たないことといたしておるところでございます。
自民党と旧統一教会との関係についての調査についてお尋ねがありました。
自民党におきましては、一昨年に各議員が旧統一教会との過去の関係を詳細に点検、報告するとともに、それ以降に新たな接点が明らかとなった場合には、その都度、追加的に報告、説明を行うよう求めてきたところであります。
当該団体は長年にわたり多様な組織形態や名称の下で様々な活動を展開しており、個々の議員が全ての接点を網羅的に把握し切れない場合があることも事実であります。新たな接点が判明いたしました場合には、速やかに報告、説明するとともに、未来に向かって当該団体と関係を持たないことを徹底することが大切であると考えており、引き続きこの方針を堅持いたしてまいります。
自民党と旧統一教会との関係遮断についてお尋ねをいただきましたが、先ほども申し上げましたとおり、自民党におきましては、一昨年、各議員が旧統一教会との過去の関係を詳細に点検、報告したところであり、それ以降は当該団体と一切関係を持たないこと、新たな接点が明らかとなった場合には、その都度、追加的に報告、説明を行うことを方針としておるところであり、現時点において、お尋ねのような対応が必要な状況であるとは考えておりません。
残余の質問につきましては、関係大臣から答弁をいたさせます。
〔国務大臣牧原秀樹君登壇〕
2024-10-07
第214回国会(臨時会) 衆議院 本会議 第3号 発言No.33全文を見る日本維新の会の馬場伸幸です。
教育無償化を実現する会との統一会派を代表し、質問をいたします。
元日の震災から復興へ懸命に立ち上がろうとしていた石川県能登地方が、先月下旬、線状降水帯による記録的豪雨に見舞われました。お亡くなりになられた方々に哀悼の意を表し、御遺族と被災された方々に心よりお見舞いを申し上げます。また、被災地で救助、復旧等に力を尽くされている全ての皆様に深く敬意を表します。
私たちは、震災直後から続けている被災地へのサポート体制を強化し、更にきめ細かく支援をお届けしてまいります。
さて、総理は、総裁選直前の八月に上梓した「保守政治家 わが政策、わが天命」の中で、大臣就任時に答弁について、検討するという文言は認めず、検討して、いつまでに成案を得ると改めていたとしています。ならば、私が政策課題の実現目標を伺った際には真摯にお答えいただくよう、まずもって強く求め、質問に入ります。
総理になる前の自民党総裁の立場で、次期衆議院選挙を十月二十七日投開票の日程で行うというおきて破りの表明をし、明後日、解散される運びとなっています。国会で正式に選出される前に総理の伝家の宝刀を抜くとは、国会軽視、思い上がりも甚だしいと指弾せざるを得ません。
僅か半月余り前の総裁選の討論会で、総理は、解散の時期について、国民が判断する材料を提供するのは政府の責任であり、新しい総理の責任、本当のやり取りは予算委員会だ、世界情勢がどうなるか分からないのに、すぐ解散するという言い方はしないと明言していました。事実上、総理を選ぶ総裁選での言葉は国民に対する公約にほかなりませんが、舌の根も乾かぬうちに手のひら返しの解散を宣言する変節ぶりには、開いた口が塞がりません。
無論、常在戦場です。私たちは受けて立ちますが、解散前にやると約束した予算委員会さえも開かず、敵前逃亡のそしりは逃れ得ません。
総理に伺います。
元々、憲法七条に基づく解散については、時の政権に有利になるため憲法の趣旨に反すると否定的な見解を示していたのに、なぜ豹変したのですか。党執行部に押し切られて解散を決断したならば、党内野党として筋を通してきた総理も、最高権力を手にした途端に、党利党略で持論を曲げてしまうという本性が露呈したと受け止めなければいけません。これでは先が思いやられます。これに反論できますか。
このような有様で、自民党の裏金問題で地に落ちた国民の政治への信頼を取り戻せるとお考えでしょうか。就任記者会見で自ら、納得と共感内閣だと命名されましたが、国民に納得と共感が得られるとお思いでしょうか。
会期延長してでも予算委員会を開くことが不可欠です。能登半島の豪雨災害に対応するための令和六年度補正予算編成も無視するのでしょうか。
総裁選中、世界情勢が不透明なことも解散しない理由に挙げていましたが、先週、イランがイスラエルにミサイル攻撃し、第五次中東戦争の萌芽が現れました。国際情勢は一層混沌とし、日本がエネルギー危機に見舞われる可能性があります。現在の国際情勢下で、衆議院議員不在の政治空白をつくっていいのでしょうか。
総理の臆面もない公約破りを目の当たりにすれば、さきの総裁選は、自民党挙げての壮大な茶番だったと断じざるを得ません。総理の変節は、本質は変わらない、変えられない自民党政権の実態そのものではないでしょうか。
以上、敵前逃亡することなく、真摯にお答えください。
前国会で私は自民党総裁との間で文書を交わし、いわゆる政策活動費の十年後の公開で合意をしました。しかしながら、それは、結党当初から身を切る改革を掲げ、政治と金についてどの党よりも厳しいルールを自らに課してきた我が党として、改革姿勢が後退したのではないかという疑念を抱かせる結果を招いてしまいました。
前国会において自民党に、政治と金の問題を一掃する完全なる改革、政策活動費の即時廃止を迫らなかったことは、結果的に私たちの誤りでした。提案した政策は法案が成立しなくても実践するという政治姿勢を貫き続けている維新の党是から、今すぐの実践にちゅうちょがあったことも含め、真摯に反省をしています。
そこで、前国会閉会後、いま一度、改革政党の原点に立ち返り、政策活動費の支出は今後一切行わないことをルールとして定め、実践に移しています。さらには、これを法律による共通ルールとするため、今国会に、政策活動費や企業・団体献金の禁止、議員定数の削減等をうたった政治資金規正法及び公職選挙法の改正案を提出しました。
一方で、自民党は、裏金問題について、再発防止と政治不信を払拭するための法改正だけでなく、実態解明と当事者の処分も実施すると明言してきました。しかしながら、これらは今も、うやむやのままです。残された課題を今国会でやり切ることは立法府の使命です。しかし、総理がその議論する機会さえ奪わんとして、解散・総選挙に突き進んでいます。このことには断固たる抗議をいたします。
その上で、政治と金の問題に関して、総理にお伺いをいたします。
まず、派閥のパーティー収入不記載に端を発した裏金問題についてです。
政治倫理審査会については、衆参両院議員計七十二人がいまだに出席を拒んでいます。当然、出席を促すお考えでしょうか。
来る総選挙で、石破総理は昨日、相当程度の非公認が生じると宣言をされました。しかしながら、国民感情からすれば、裏金、脱税に関与した全員を非公認とするべきではないでしょうか。総裁選の公約どおり、総裁自らお一人お一人に聞き取りを行って判断するのですか。
前国会で明らかになったのは、長年の金権体質がしみついた自民党が構造的な機能不全に陥っているという事実です。この組織的問題に対して、幾ら首をすげ替えても対症療法にしかなり得ません。
私たちは既に、率先垂範して、旧文書通信交通滞在費の領収書公開を自主的に行ってきました。政治資金収支報告書の会計責任者は国会議員本人とし、責任の所在も明確にいたしました。さらに、先ほど述べたように、今後は政策活動費も完全に廃止をいたします。
総理は、過去に、政策活動費の廃止も一つの方向性だと述べておられますが、私たちの取組と比べると、いささか踏み込みが甘くないですか。自民党も、政治不信を一掃するために、私たちに倣って、廃止する方針を明確にすべきではないでしょうか。
さらに、私たちは、この問題を追及するに当たり、自ら身を正すことが必要と考え、過去の政策活動費の検証を行うチームを設置することに決めました。私たちの調査では、総理は、自民党幹事長職にあった平成二十四年九月から平成二十六年八月にかけ、計七十二回、総額十七億五千五十万円を政策活動費として受け取っています。私たちと同様に、これらの内訳も全て自主的に調査、説明してはいかがでしょうか。
金権体質を根本的に浄化するには、企業・団体献金の禁止は不可欠です。日本の財政を圧迫している社会保障の抜本改革は、献金を橋渡しにした自民党と企業、団体の癒着によって立ち往生しています。例えば、岸田前総理は日本医師会政治連盟から年間一千四百万円もの献金を受け取っており、これが癒着となれ合いを生み出し、医療制度改革を停滞させる要因になっているとの指摘は絶えません。
我々は、企業、団体へのパーティー券販売も含め、企業や業界団体からは一切お金を受け取りません。既得権の温床となる企業・団体献金は直ちに禁止すべきと考えますが、総理の決意を伺います。
一切のしがらみを排した構造改革を成し遂げるには、政治家自らが身分や特権を手放すことで覚悟を示さねばなりません。
私たちには、大阪府市で議員定数の削減を行い、議員歳費も削減した実績があります。国会では身を切る改革で、月々の歳費の二割、ボーナス三割を自主的にカットし、国内外の被災地や戦災地に寄附をしているほか、形骸化した特別委員会や委員長ポストの廃止に取り組んでいます。
民主党政権下の平成二十四年から果たされていない国民との約束が、国会議員定数の大幅な削減です。自民党は、この問題をいつまで引き延ばすのでしょうか。私たちが四日に提出した、比例代表選出議員の定数を二割削減する公選法改正案を可及的速やかに可決するべきではないでしょうか。議席削減に向けた総理の覚悟をお示しください。
旧文通費については、根本的に政府・与党の姿勢を問いたださなければなりません。
自民党との合意文書では、旧文通費の使途公開と残金返納を義務づける立法措置を行うこととなっています。これは公党同士の約束です。無論、総理はこの合意を生きているとお考えでしょう。
しかし、総理は、総裁選勝利後の先月二十九日のテレビ番組で、何が使途として認められるのか与野党で合意すれば公開すると発言されましたが、まず公開することを実践してから使途を決めるのが筋ではないでしょうか。私たちは、旧文通費の領収書を一枚残らず自主的に公開をしています。与野党の合意がなくても、総理自身、私たち同様に、自主的に領収書を公開するお考えはありますか。
岸田前総理が導入を決めた子ども・子育て支援金は、少子化対策を掲げながらも現役世代の手取りを減らし、また、防衛財源とするための法人税、所得税、たばこ税の増税は、身を切る改革なくして負担を国民に押しつける暴政そのものです。
自民党の茂木前幹事長が総裁選でゼロ増税を打ち出し、いずれも実施せずに財源は確保できると喝破されました。政策決定時に党幹事長であった方の発言には重いものがあります。この意見を受け入れ、社会保険料増額や増税を一旦凍結し、予算の精査や事業の見直しをやり直すべきではないでしょうか。お答えください。
社会保障制度は、国民の安心と幸せに直結する国民の関心事です。しかし、総理は就任会見で見直しに着手するとしただけで、ほとんど関心がないと断じざるを得ません。私たちは既に、高齢者医療制度の窓口負担の適正化、診療報酬の見直しなど、医療維新として具体的な医療制度改革案を提示しているところです。
総理は、年々増大する社会保障費を具体的にどのように抑制していくお考えでしょうか。社会保険料を下げることで現役世代の負担を軽減し、世代間格差を解消することこそ政府が解決すべき課題だと考えますが、総理の見解を求めます。
医療分野のDXは、医療費の適正化や診療報酬と薬価の見直し、電子カルテの標準化など、聖域とされてきた社会保険制度の中核にメスを入れることになります。しかし、その入口であるマイナ保険証に対する国民の忌避感が強く、十二月の健康保険証とマイナンバーカード一体化への円滑な移行が危惧されます。ここでつまずいているようでは、医療DXの実現など絵に描いた餅にすぎません。
不人気の大きな理由は、制度設計上、マイナ保険証を使用するメリットが余りにも少ないからです。問答無用でマイナ保険証を持たせることが目的化し、搭載される医療情報が極めて限定されている現行の制度設計は、医療DXのプラットフォームとして嘆かわしい状況です。
総理に質問をいたします。
マイナ保険証への移行は予定どおり実施されますか。マイナ保険証への移行と並行し、電子カルテ情報を共有できるよう、現行二百床以下の医療機関、診療所の半数が紙のカルテを用いている状況を打開するなど、国民の受診、治療や健康維持に資する制度を構築することが不可欠ではないでしょうか。お答えください。
本年は五年に一度の年金財政検証の年でありましたが、年金制度の経年劣化は火を見るよりも明らかです。人口減少が加速する今、年金は、現役世代の安心感よりも、むしろ負担感を増しているとも思われますが、どうお考えでしょうか。
そもそも、財政検証の考え方自体が昭和のモデルを前提としており、時勢を反映していないと言わざるを得ません。例えば、年金の所得代替率のベースは専業主婦世帯を想定しています。年金の保険料を納めている現役世代の多くが共稼ぎや未婚世帯であり、将来の見通しは個人単位の比較で示すべきであります。
現代社会に通用しない昭和のモデルにメスを入れ、時代に合う年金、医療の仕組みを再構築すべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
財政検証では、合計特殊出生率の長期的な値も一・三六に設定されており、昨年の合計特殊出生率が一・二〇だったことを踏まえれば、異常に高い水準になっています。また、全人口に占める外国人の比率が一一%になるとされていることにも疑義があります。外国人比率一一%を実現するなら、日本社会の在り方そのものが大きく姿を変えることは容易に想像できます。このような変化に対し、そもそも、国民的なコンセンサスが取れているとお考えでしょうか。そうでなければ、なぜこのような空想的な比率を採用したのでしょうか。
年金の財政検証は粉飾と言わざるを得ず、将来世代への負担の先送りにつながると考えます。これらの前提を見直すべきではないでしょうか。総理に答弁を求めます。
総理は、地方創生の交付金を当初予算ベースで倍増させる方針を示されました。
総理に伺います。
初代の地方創生担当大臣を二年間務め、地方の問題に力を注がれてきましたが、これまでにどのような成果があったとお考えでしょうか。
首都圏一都三県への転入者と転出者の差は、地方創生がスタートした平成二十六年よりも拡大しています。男性より女性の流入の方が多い傾向も、この十年、変わっていません。東京一極集中の流れを反転させるような効果はなかったと思いますが、これまでの取組のどこに問題があったと認識されていますか。
地方創生推進交付金事業をめぐっては、過去に行政評価レビューで、重要業績評価指標、いわゆるKPIの設定や効果検証の方法などについて、外部有識者から事業全体の抜本的な改善を勧告された経緯があります。やり方によっては、ばらまきの道具になり、総理が師と仰ぐ田中角栄流の利益誘導政治に戻りかねません。今まで地方創生推進交付金がどのように使われ、いかなる効果をもたらしてきたか、まず徹底的に検証するべきではないですか。
地域を活性化するには、大学、雇用、金融機関などが集中する極が必要です。これを日本全国に分散させ、極を中心に経済成長を目指す多極分散の発想が不可欠と考えますが、所見を求めます。
消費税を始めとした国税を地方に抜本的に税源移譲することで、国の関与を減らし、主体的な自治体経営を可能とすることも肝要と考えますが、見解を求めます。
長引く物価高は、国民の日常生活を苦しめ、その影響は深刻度を増しています。今月値上げされた食品は、ペットボトル入りの飲料やハム、ソーセージなど二千九百品目余りにも上り、今年に入って最も多くなったと伝えられています。
政府は、物価高対策として電気やガス料金への補助やガソリン価格を抑えるための補助を実施していますが、ばらまき志向のびほう策にすぎません。総理が改めて意思表示をした低所得者向けの給付金も、高齢者に偏重し、本当に必要な人に届く施策ではありません。私たちは、国民が何よりも求めていることは、消費税や社会保険料の負担軽減と、それに伴う可処分所得の増加だと考えています。
総理に伺います。
事業者支援を中心とするばらまき路線から脱却し、全ての国民に直接還元されるような形での支援に転換すべきではないでしょうか。消費税を八%に引き下げ、軽減税率を廃止するとともに、社会保険料を軽減することが、より実効性のある物価対策になり得ると考えますが、いかがでしょうか。お答えください。
自民党政権は、長らく、業界団体や霞が関との堅牢な鉄のトライアングルを築き、旧態依然とした規制と昭和の古い価値観を温存することで、我が国の成長を阻んできました。電波オークションの導入や農地の企業所有解禁といった岩盤規制の改革を断行しなければ、イノベーションも新しい産業も生まれず、日本経済は停滞から抜け出せません。
失われた三十年の元凶の象徴と言える事例が、ライドシェア解禁に対する政府の対応です。
今年四月、日本版ライドシェアなるものが導入されましたが、実態は、運行管理はタクシー事業者にしか認められず、時間や地域も限定され、名ばかりライドシェアと言わざるを得ません。権益を固守する政官業が、へ理屈と恣意的なデータを駆使し、できない理由を取り繕い、業界外からの新規参入をブロックしているからです。全面解禁による市場規模は一兆円を優に超えるとされているにもかかわらずです。また、来るべき大阪・関西万博の成功に向けても、ライドシェアの更なる解禁が切望をされています。
総理は自著「保守政治家」の中で、あらゆる改革について、既得権益を壊すために不人気な政策であっても断固としてやり抜かなくては日本の将来に禍根を残すことになると訴えていますが、所信表明では規制改革のキの字にも触れずじまいでした。
総理に伺います。
業界団体と役所の既得権益を守ることで、国民の利便性がないがしろにされていいのでしょうか。規制改革に本腰を入れて取り組む覚悟はないのでしょうか。移動の足の不足という社会課題を解決するためにも、大胆な規制改革によって新たな市場の創出や新しい働き方への転換を促すためにも、新規参入が可能なライドシェアの全面解禁を実現してしかるべきではないでしょうか。お答えください。
インフラ整備についても伺います。
石破総理は、リニア新幹線について、開業すれば東海道新幹線に輸送余力が生じると積極的なコメントをされ、高速交通インフラに強い関心があると拝察いたします。
翻って、東京と大阪をつなぐ北陸新幹線の整備事業では、空白となっている敦賀以西のルートについて、国土交通省は、当初想定した建設費が二倍以上の五兆円超まで膨らむと試算し、難工事のリスクから工期も最長約二十八年と当初の十五年から大幅に延びると見込んでいます。
総理に伺います。
現行の計画ルートの工事条件が不測の事態で大きく悪化した場合、より合理的、現実的なルートへの変更も検討する可能性はありますか。対象ルートが収支採算性や投資効果など着工五条件がクリアできないなら、五条件自体を見直すという声も与党から漏れ聞こえてきています。まさかゴールポストを強引に移動させるようなことはないと思いますが、所見を求めます。
国際情勢が流動化する中、核を持つ中国、北朝鮮、ロシアを隣に抱える日本の安全環境は日を追うごとに厳しさを増しています。力による台湾統一の野心を持つ中国の人民解放軍は、八月以降、日本周辺での威圧活動を先鋭化させています。情報収集機が領空侵犯したほか、測量艦が領海侵入し、空母が初めて接続水域を航行しました。日本が米国と安全保障面で連携を強化していることへの反発であることは間違いがありません。
総理に質問します。
日本有事に直結する台湾有事は、総理の総裁任期中の二〇二七年までに起きるとの観測が強まっています。御自身が戦時の宰相になり得る蓋然性が高いわけですが、その覚悟はありますか。その日を視野に、国家国民を守り抜くための万全な防衛体制をどのように、そしていかなるタイムスケジュールで敷いていくお考えでしょうか。
総理は、自著「保守政治家」で、台湾有事、即日本有事になる可能性は相当低いと指摘しています。理由は、中国が台湾を攻撃しても、日本を攻撃すれば同盟国の米国を敵に回すことになるからだそうです。
そのような政府最高指導者の甘い認識は、中国、そして日本国民への誤ったメッセージになりかねないのではないでしょうか。対中抑止力や国民の国防意識をそぐことになるとも懸念しますが、所見を求めます。
海上自衛隊の護衛艦「さざなみ」が先月二十五日、海自艦艇として台湾海峡を初めて通過しました。欧米の軍艦は、台湾海峡はどの国にも属さない国際水域として自由に航行していましたが、日本はこれまで、中国との間で緊張が高まることを避けるため、海自艦艇による航行を控えていました。指示をした岸田前総理の決断は、日本周辺で傍若無人に振る舞う中国を牽制する上で意義があり、対中抑止力に資するものとして評価をいたします。
今後も海自艦艇の台湾海峡航行を継続して行っていくべきだと考えますが、見解を伺います。また、これに限らず、中国、北朝鮮、ロシアの脅威に対して、日本は毅然とした行動や対抗措置を取っていくお考えはあるでしょうか。
総理は、自民党総裁選での政策集で、党是の憲法改正について、国会での議論を促進し、総理在任中の国会発議を実現すると掲げました。岸田前総理は、総裁任期中の憲法改正実現を重ねて公言されていましたが、結局果たせずに終わりました。与野党五会派で合意形成されつつある緊急事態条項創設や、防衛力の抜本的強化と表裏一体にある九条への自衛隊の明記などを軸に、改正案の取りまとめ作業に直ちに入るべきです。
総理にお尋ねいたします。
前総理が憲法改正を実現できなかった最大の要因は、自民党が常々、予算や重要法案の審議優先などをできない理由の口実として野党第一党と談合し、都合よく先送りし続けているからだと考えます。つまり、やる気がないだけで、成否は総理・総裁の決断次第です。このような現状を打開する覚悟はあるでしょうか。
総理が発議をするとした総理在任中とは、現総裁任期の三年以内にということでしょうか。総理在任中というなら、場合によっては発議の目標期限が総裁任期最長三期連続、すなわち九年先までずるずると先延ばしができます。三年以内に発議をするとはっきり言ってください。自民党総裁として答弁を求めます。
日本維新の会は改革政党です。結局は従来型の自民党手法そのものから抜け出ることのできない石破内閣に対して、もう一つの選択肢を示していきます。
先月、私は日本維新の会の外交ミッションとしてインドを訪れましたが、昭和四十年代の日本のように、国中にあふれる活気に驚きました。現地の人々が皆、暮らしがよくなっていく期待でわくわくする笑顔で輝いていたからです。
近く迎える総選挙で、私たちも、国民がわくわくできる社会を実現すべく、日本大改革の道筋を果敢に提案し、全力で戦い抜くことをお誓い申し上げ、質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。
〔内閣総理大臣石破茂君登壇〕
2024-10-07
第214回国会(臨時会) 衆議院 本会議 第3号 発言No.40全文を見る私は、日本共産党を代表して、石破総理に質問します。
冒頭、石川県能登の豪雨災害で亡くなられた方々に深い哀悼を申し上げ、被災された方々に心からのお見舞いを申し上げます。
二度目の避難に多くの被災者が苦しんでいます。にもかかわらず、避難所での温かく栄養のある食事の提供やプライバシーの確保などで、一月の震災の教訓が生かされておらず、見捨てられたとの声も上がっています。直ちに改善することを強く求めます。浸水した仮設住宅の早期改修や安心できる場所への仮設住宅の建設など、住まいの確保への支援の強化を強く求めます。直ちに補正予算の編成が必要だと考えますが、いかがですか。
旧優生保護法の違憲判決を受け、本日の本会議で謝罪決議と被害補償法を可決しました。引き続き、当事者である障害者の皆さんの声を聞き、真摯な反省の下に検証を行い、優生思想を根絶することは、政府と国会に課せられた重要な責務であります。答弁を求めます。
私は、総理の政治姿勢の基本について、三つの点を質問いたします。
第一は、腐敗政治をなくし、政治に信頼を取り戻すという問題です。
まず問いたいのは、総理自身の言行不一致の問題です。
あなたは、自民党総裁選で、国民に判断してもらえる材料を提供するのは新しい総理の責任だ、本当のやり取りは予算委員会だと繰り返しました。ところが、総理に就任すると、前言を覆し、あさってにも解散を強行するとしています。
解散・総選挙は民主主義の根幹に関わる大問題です。そうした大問題で、数日前の自らの発言を平気で覆す。これでは、総理が今後どんな発言をしようと、国民はそれを信用することができなくなるではありませんか。一国の政治指導者がこういう姿勢を取っていて、どうして政治への信頼が回復するでしょうか。しかとお答えいただきたい。
裏金問題について、九月九日、日本ジャーナリスト会議は、今年度のJCJ大賞にしんぶん赤旗日曜版の裏金スクープを選ぶとともに、その授賞理由の中で、裏金問題を大政治犯罪だと断罪しました。
端的に聞きます。総理はそもそも裏金問題を大政治犯罪だと認識しているのか否か、お答えいただきたい。
しんぶん赤旗日曜版の十月六日号は、総理が代表を務めた石破派が、政治資金パーティーの収入を六年間で計百四十万円分不記載にしていた事実を新たにスクープしました。
総理は、昨年十二月十二日のテレビ番組で、石破派にもキックバックがあったことを認めた上で、出も入りもきちんと載せているとし、政治資金収支報告書の記載に問題はないと強調していましたが、あなたの発言は真っ赤なうそということになるではありませんか。
総理、石破派にも主要五派閥と同じ深刻な裏金疑惑が問われているのであります。総理は、新しい事実が判明したら調査する、勇気と真心を持って真実を語ると言われました。ならば、徹底的な再調査を行い、国民に真実を明らかにすべきではありませんか。
自民党の底知れない腐敗政治の大本には、企業・団体献金があります。パーティー券も含めて企業・団体献金は全面的に禁止し、政党助成金は撤廃すべきです。明確な答弁を求めます。
七月、厚生労働省が発表した国民生活基礎調査で、生活が苦しいと答えた方は五九・六%に上りました。働く人の実質賃金は、この十一年間で年三十三万円も減りました。他方、大企業の内部留保は、同時期に二百兆円以上も膨らみ、五百三十九兆円に達しています。大富豪四十人の資産は七・七兆円から二十九・五兆円へと膨れ上がりました。
これは決して自然現象ではありません。異次元の金融緩和で物価高騰を招き、国民を苦しめているのは誰か。働く人を派遣、パート、アルバイトなど非正規ワーカーに置き換え、使い捨て労働を蔓延させているのは誰か。大企業減税を行い、その穴埋めに消費税大増税を強行したのは誰か。
今日の国民の深刻な生活苦は、全てが自民党の経済失政の結果ではありませんか。総理にはその認識がありますか。あなたは岸田内閣の経済政策を引き継ぐと言いますが、こうした経済失政を引き継ぐおつもりですか。答弁を求めます。
大企業、大金持ち優遇から国民の暮らし最優先に、経済政策の大転換が必要です。三つの点に絞って具体的に提案いたします。
第一は、最低賃金を速やかに全国一律千五百円に引き上げることです。
最賃の大幅引上げのために不可欠なのが中小企業への社会保険料減免など直接支援ですが、総理は所信で一言も触れませんでした。直接支援は必要ないというお考えですか。日本共産党は、大企業の内部留保の増加分に時限的課税を行い、十兆円の税収を中小企業の賃上げ支援に充てる提案を行っていますが、この提案を受け入れる意思はありませんか。答弁を求めます。
第二は、賃上げと一体に、労働時間を短縮し、自由な時間を増やすことです。
日本の労働時間は、ヨーロッパの主要国に比べて年間で三百時間も長く、過労死がいまだに一大社会問題になっています。
こうした中、博報堂の行った若者調査では、今一番欲しいものとの問いに、一位はお金、二位は時間、三位は自由という結果が出ました。あるベビーシッター会社が、子育て中のお母さんを対象に、母の日のプレゼントに何が欲しいかのアンケートを行ったところ、断トツ一位は自分だけの時間でした。多くのお母さんが仕事と家事と育児に追われ、睡眠時間を削らざるを得ない現状にあるのであります。
総理は、自由に使える時間が欲しいという願いが国民の切実な願いであるという認識をお持ちですか。男性は仕事、女性は家事、こういう不平等を正し、ジェンダー平等の日本をつくるためにも、労働時間の短縮が必要だと考えますが、いかがですか。
こうした事態の抜本的打開のために、日本共産党は自由時間拡大推進法を提案しております。一日七時間、週三十五時間労働制に速やかに移行すること、この目標達成のために、政府に中小企業への支援、介護、教育、建設、運輸などの人手不足の分野で特別の対策を義務づけること、残業規制を強め、サービス残業を根絶することなどをパッケージで提案しております。
人間は、ただ働いて、食べて、寝るだけの存在ではありません。働く人が、人間らしい生活を営む収入とともに、余暇や趣味を楽しみ、豊かな教養に親しみ、家族と一緒の時間を大切にし、社会活動に取り組むための自由な時間を持つことができる社会こそ、本当に豊かな社会と言えるのではないでしょうか。総理に我が党の提案への見解を問うものです。
第三は、暮らしを支え、格差を正す、税金と財政の民主的改革です。
空前のもうけを上げている富裕層と大企業に応分の負担を求め、消費税を緊急に五%に減税する、インボイスは廃止する、これこそ物価高騰への最良の特効薬ではありませんか。
高齢者の負担を増やし、給付を減らすのは当たり前という冷酷な政治がまかり通り、高齢者の人権と尊厳が踏みにじられている現実は、本当に異常です。老人福祉法は、「老人は、多年にわたり社会の進展に寄与してきた者として、かつ、豊富な知識と経験を有する者として敬愛されるとともに、生きがいを持てる健全で安らかな生活を保障されるものとする。」と定めています。総理、この基本理念に立って、年金、介護、医療の充実を図ることこそ、政治の使命ではありませんか。
大学の学費値上げが一大社会問題になっています。今でも異常に高い学費を更に値上げなど、とんでもありません。高等教育への公的負担を大幅に増やし、学費値下げに踏み出し、学費ゼロの社会をつくるために、本気で政治の責任を果たすべきではありませんか。答弁を求めます。
日米軍事同盟絶対の政治を続けていいのかが問われています。
この間、集団的自衛権の行使容認、長射程ミサイルの配備、GDP比二%への大軍拡、武器輸出の解禁など、憲法九条の下でできないとされてきたことが次々と強行されています。それらの全てで、日米同盟の強化が最大の理由とされています。
日米同盟の四文字を聞くと思考停止に陥ってしまう政治が、今、日本の政界を覆っています。日米同盟のためにといって、日本国憲法を平気でじゅうりんする。日米同盟のためにといって、核兵器禁止条約に背を向け、果ては核共有、米国と核のボタンを押すことを共有するなどという被爆国の首相にあるまじき恥ずべき主張を行う。日米同盟のためにといって、沖縄県民の民意を踏みつけにして辺野古新基地建設を押しつけ、少女への性暴力を隠蔽する。独立国にあるまじきこんな政治を続けていいのかを、私は総理に問いたいのであります。
日本が軍事同盟強化で構えれば、相手も一層の軍事力強化で構え、軍事対軍事の悪循環をひどくします。その先に決して平和は訪れません。日本共産党は、世界を対立するブロックに引き裂く軍事同盟強化に断固反対を貫きます。
世界を見れば、軍事同盟に頼らずに平和をつくる動きがあるではありませんか。ASEANは、域内で年間千五百回もの会合を持つなど、徹底した対話の積み重ねで東南アジアを平和の共同体に変えました。さらに、平和の流れを域外に広げ、ASEAN十か国プラス日本、中国、米国を含む八か国で構成される東アジア・サミットを強化して、東アジアの全体をASEANのような戦争の心配のない地域にする大構想を提唱しています。あれこれの国を敵視するブロック政治を排し、地域の全ての国を包摂した平和の枠組みを発展させようというのがその根本精神であります。
今、日本政府がなすべきは、ASEANと協力して東アジアに平和を構築する、憲法九条を生かした平和外交ではないでしょうか。
総理の答弁を求めて、質問を終わります。
〔内閣総理大臣石破茂君登壇〕
2024-10-07
第214回国会(臨時会) 衆議院 本会議 第3号 発言No.21全文を見る野田佳彦議員から、アベノミクスの評価について御質問いただきました。
経済財政政策の評価については内閣府の担当になりますが、アベノミクスについては、これまでの、デフレでない状況をつくり出し、GDPを高め、雇用を拡大したと評価がなされているものと承知しております。
なお、総務大臣就任に当たり、石破総理から、経済あっての財政との考え方に立ち、デフレ脱却最優先の経済財政運営を行う、成長分野に官民挙げて思い切った投資を行い、賃上げと投資が牽引する成長型経済を実現しつつ、財政状況の改善を進めるとの御指示をいただきました。
この御指示の下、内閣の一員として、与えられた職務に全力で取り組んでまいります。
〔国務大臣斉藤鉄夫君登壇〕